田中昌之さんの声と歌、その魅力
- EK
- 2022年11月26日
- 読了時間: 4分
更新日:2022年11月30日
2022/11/26
今年の春のある日。
幼い頃に聴いた、クリスタルキングの「大都会」が不意に聴きたくなって、
YouTubeにアップされている、当時のテレビ番組の録画を観た。
1979年から翌80年にかけて大ヒットしたミリオンセラー。
最初の動画を観て、あのインパクトあるメロディーと、
高音ヴォーカル担当だった田中昌之さんのスーパーハイトーン・ヴォーカルを聴いた瞬間、当時、幼心にどれだけ驚いたか、
その記憶と驚嘆の感覚が甦った。
幾つかの録画を比べ聴くうちに、あっという間に、
田中さんの圧倒的なまでの声と歌の力にすっかり魅了され、
YouTube上の他の曲の録音も、聴けるだけ聴き漁り始めた。
若い頃の音源から現在のものまで、CDやレコード、カセットテープを買い漁り、
アップルミュージックからダウンロードできる音源はダウンロードした。
YouTubeにしかない貴重な過去のライブなどの音源は、
コンバーターのソフトウェアを買ってMP3に変換し、
USBメモリに落として、メモリスティックをステレオコンポに差して、
来る日も来る日も、朝から晩まで、ひたすら聴き続けるようになった。
要するに、ある日突然、田中さんの声と歌と、恋に落ちた。
これだけ聴いても、聴き飽きることがない。
クリスタルキング時代からソロになって以降も、
繰り返し聴くにたえる佳曲が多いおかげも大きい。
だが、それ以上に、なにより、声と歌があまりにも見事すぎるのだ。
極上の料理を食べ飽きることがないように、
極上の絵画を見飽きることがないように、
彼の声と歌が、圧倒的に豊かなのだ。
とりわけ、若い頃のそれは、喩えれば、虹のプリズムや、モネの晩年の睡蓮の絵のように、
多彩な光と色が多層的なレイヤーを織りなして煌めいているかのような、
そういう豊かさだ。
そして、あまりにも、華麗で豊穣、豪奢、つまりはゴージャスで贅沢な声なのだ。
そこには、凜とした芯の強い潔さがありながら、
同時に、とてもセンシュアルな魅惑がある。
清潔な輝きと、蠱惑的で官能的な艶やかさが、絶妙なバランスで拮抗し、調和している。
それは、視覚的に喩えると、美しい青年の放つ清らかな色っぽさに似ていると思う。
彼にしか表現できない、独特のパンチとグルーヴの効いた歌い方の圧倒的な魅力もあり、
近年の彼の歌声にも、それは健在している。
30代の終わり頃、草野球をしている最中に、イレギュラーしたボールが喉を直撃して、
若い頃のスーパーハイトーンを失い、何年も苦しみもがいたという。
その後、音域は中低音主軸にキーを変化させて、再び歌うようになり、
現在まで歌い続けているわけだが、
近年の声と歌は、深く濃い琥珀色のなかに、
時折、鮮烈に銀色の閃光や白や赤や金の余韻が走る、
そんなふうに聞こえて、それもまた、味わい深いのだ。
というわけで、何事にも「美食家」で美味しいものに目のない私は、
彼のおかげで、思わぬラクジュアリアスな聴覚体験の歓びに、日々、恵まれている。
そんな彼の魅力を、もっと多くのひとに知ってもらえたらと思い、
YouTubeで公開されているなかから、私のフェイバリット、ベリー・ベストと思う音源を、
以下に、セレクトして、記録したい。
このブログを読んで、興味が湧いた方は、ぜひ、聴いてみてほしい。

🌟
クリスタルキング 離別学(わかれがく) 1983
大阪厚生年金ホールでのライブ音源
個人的に、この音源は「世界遺産登録されるべき」とすら思う。圧巻。
🌟
クリスタルキング 駆引き 1985
5th アルバム「MOON」から
アップテンポな曲で、マー坊特有のパンチとドスの利いた迫力ある歌い方がピカイチ。
作詞も、上の「離別学」同様に、マー坊の手によるものだけれど、
こちらの歌詞はとくに良い。
🌟
クリスタルキング サマーシェイド 1980
アコースティック・スタジオライブ・バージョン
艶やかな中低音域の歌声が素晴らしい。
🌟
クリスタルキング 愛情AGAIN 1985
マー坊のスーパーハイトーン・ヴォーカルの真骨頂。
🌟
クリスタルキング 田中昌之 ハードロックコーナー 1983
渋谷LIVE INNでのライブ録音音源
ジャーニー、レッド・ツェッペリン、ジャニス・ジョップリン、ボズ・スキャッグスなどの洋楽名曲カバー。オリジナルより素晴らしい。とくに最後の「When A Man Loves A Woman 男が女を愛する時」のアレンジが魅力的。
🌟
田中昌之 ハローの涙 1986
1st ソロ・アルバムより。アルバム・ヴァージョン
マー坊の最初のソロ・アルバムは、じつはファンの間では周知の幻の名盤。
全曲シングルカットできるレベルの良い曲が満載。CD再発してほしい。
🌟
田中昌之 Over The Rainbow 2016
ソロ・アルバム「It's My Life」より
これ以上に見事な「オーバー・ザ・レインボウ」を私は知らない。
とりあえず、入門編は以上です。
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